【転職検討している方必見】介護業界のキャリアパスとは?例やモデルはあるのか?
2021年7月12日 掲載
転職を考えて新しい職種を探すときによく目にする介護士の仕事。
高齢化社会の今、必要な仕事として注目されています。
介護士は人のために働くことができるやりがいのある仕事です。
経験がなくても興味を持って新たに始めたいと考える方も多いと思います。
しかし、介護士の仕事は将来的にどうなのか情報が欲しいところです。
今回は、介護業界のキャリアパスの概要や例やモデルがあるのかなどご紹介していきます。
目次
介護業界のキャリアパスとは
現在は介護業界でもキャリアパスを作っていくことが大切とされています。
介護業界では、離職率が高く転職する方も多いです。
そして人手不足という状態が続いています。
これから介護業界で働く人材を増やしていくとともに、長く働き続けてくれる人材を確保することが大切になります。
キャリアパスを作っていくことは介護士として働く人・介護業界の全体に置いてもメリットになります。
キャリアパスとはいったい何?
一般的には、キャリアパスとは「キャリア」は職歴・「パス」は道をあらわしています。
キャリアパスとは、仕事をしていくうえでの、目標を決めて、そこに向かって進んでいく道筋、というものです。
目標と道筋があることで、自分の目指すべきところややるべきことが明確になります。
目的があることで自然とモチベーションが向上していきます。
会社にとっては、職員を育成するための指標として考えやすく、教育の面でも会社のサービスの質の向上の面でも良いものです。
介護業界でのキャリアパスについてみていきましょう。
厚生労働省においても質の高い介護士の育成が必要とされており、資格の取得やリーダー的存在の確率などが重要とされています。
参考:介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000179735.pdf
国から介護業界の重要性や介護士の必要性が認められているため、介護業界の年収は上がっていくと思われます。
しかし質の高さがどんどんと求められているため、資格がないと仕事内容も変化しにくいです。
資格を取ることで、仕事内容も変化し任されることも増えてきます。
結果としてキャリアアップにつながっていきます。
参考:介護福祉士の登録者数の推移(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/shakai-kaigo-fukushi1/shakai-kaigo-fukushi6.html
例えば上のグラフは介護福祉士の登録者数の推移をあらわしたものです。
平成1年から徐々に増え続け、その増え方は右肩上がりです。
そして、平成30年には1,623,451名もの登録者数になっています。
こうやって増え続けている要因としては、介護業界で働いている方が資格の必要性があると感じているということです。
求職者側のメリット
では、キャリアパスがあることで求職者側にどんなメリットがあるかみていきましょう。
たくさんのメリットがありますが、以下のようなものがあります。
・現場で何の仕事ができるか伝えることができる
・やりがいが生まれる
・モチベーションが上がる
・転職時に使うことができる
・新しく介護業界へ就職しやすくなる
資格を持つことで、どんなことが現場で生かせるかなどを伝えやすくなります。
道筋がしっかりとわかることで、やりがいや次の目標へのモチベーションへもつながります。
また、転職するときに自分の経歴が示しやすくアピールする材料になります。
キャリアパスがあることで、未経験者でもどうやってこれからやっていくといいかという見通しを図ることができ就職へのハードルが下がり、就職しやすくなります。
施設側のメリット
では、キャリアパスがあることで施設側にはどんなメリットがあるかみていきましょう。
たくさんのメリットがありますが、以下のようなものがあります。
・職員を適正に評価することができる
・会社のサービスの質が上がり成長する
・意欲的で優秀な職員が増える
キャリアパスがあることで、職員が今どのような位置にいるのか把握しやすくなります。
基準があることで適切に評価できるのは施設側にもメリットですが、働く側からもメリットとなります。
キャリアパスがあることで教育がスムーズになり、会社のサービスの質も向上します。
キャリアパスによって目標をもった職員が集まり、結果として意欲的で優秀な職員が定着していきます。
どのようなモデルがあるのか
では、介護職のキャリアパスにはどのようなモデルがあるのでしょうか。
一般的には、未経験から1年目で介護職員初任者研修を受けます。
そして、3年目で介護福祉士実務者研修、3年をすぎると介護福祉士を取ることができます。
5年を過ぎるとケアマネージャー(介護支援専門員)の資格を取ることが可能となります。
そして、8〜10年を過ぎると、認定介護福祉士をとったり、マネジメント職についたりというモデルがあります。
では、具体的にどのような資格や勉強が必要なのかみていきましょう。
参考:介護ワーカー
介護職員初任者研修
介護職員初任者研修とは、介護職のスタート地点になります。
無資格で未経験の方が受けることが多い資格です。
スクールのカリキュラムは130時間で最短では1ヶ月で取得することができます。
比較的簡単に挑戦することができる資格です。
実技試験と筆記試験がありますが、そこまで難しいものではありません。
講習をきちんと行なっていれば習得できるでしょう。
介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修は、介護福祉士の資格を取るためには必要な資格です。
介護福祉士国家試験の受験資格として、実務経験3年以上ということと「介護福祉士実務者研修修了」が必須項目となっています。
講座としては、カリキュラムは20科目・450時間で取得することができます。
修了証をもらうには、修了試験の実施義務はありません。
講習をしっかり受講しておくことが重要です。
しかし、スクールによっては試験がある場合もあるので、その際はカリキュラムや学習内容を復習しておくようにしましょう。
実務者研修では、喀痰吸引や経管栄養など医療的な勉強も必要です。
そこまで難易度の高いものではありませんが、幅広く勉強していくと良いでしょう。
介護福祉士
介護福祉士は、社会福祉の専門職とする介護に関する国家資格に指定されています。
介護を必要とする方にスムーズな生活を送るサポートをする資格です。
介護において、専門的な知識や技術を持ったスタッフがいることで質の高いサービスを提供することができます。
現在は介護福祉士の必要性が高まっているうえ、この資格を持っていることで給料がアップする場合がとても多いです。
介護福祉士になるにはいくつかのルートがあります。
・実務経験を持って資格を取る
働きながら介護士の資格を受験するには、介護の現場で3年以上(実働540日以上)の実務経験が必要です。
また、介護福祉士実務者研修を修了している必要があります。
正社員としてだけではなく、パートやアルバイトでも実務経験として認められています。
・福祉系高校に入学する
福祉科や介護福祉科などがある高校では、専門知識を学んで卒業することで介護福祉士の受験資格を得ることができます。
その場合は、実務経験がなくても筆記試験を受けることができます。
・養成施設に入学する
福祉系の専門学校などの養成施設に入学し、専門知識を学んで卒業することで介護福祉士の受験資格を得ることができます。
こちらも、福祉系高校と同様に実務経験がなくても筆記試験を受けることができます。
・EPA介護福祉士候補者になる
EPA介護福祉士候補者とは、経済連携協定で日本の介護現場で就労や研修をしながら、日本の介護福祉士を目指す方のことです。
介護士の不足が問題の今、主に海外から受け入れています。
国によって資格取得の方法は違いますが、最終的には筆記試験を受ける必要があります。
試験時間が1.5倍に延長されたり、漢字にふりがながある問題用紙で試験が受けたりすることができるといった特例はあります。
参考:ケア資格ナビ
https://www.careshikaku.com/kaigofukushishi_guide/jitsumukeiken
ケアマネージャー(介護支援専門員)
ケアマネージャーとは介護支援専門員のことで、介護サービスを利用したい方が適切なサービスを受けられるように、ケアプランというサービス計画書を作成したり、事業所との調整をしたりする仕事です。
ケアマネージャーの資格を取るにはまず、必要業務経験年数をクリアする必要があります。
医師や看護師、もちろん介護福祉士も含まれる国家資格を保有していることが条件です。
その上で、その国家資格に基づく業務経験が通算5年以上かつ日数が900日以上の業務経験が必要となります。
または、国家資格を保有していない場合には介護施設などで、生活相談員、支援相談員などの相談援助業務を行なっていた経験が通算5年以上かつ日数が900日以上あると受験資格は与えられます。
各都道府県によって違いはありますので、詳細は受験する場所で確認した方が良いでしょう。
ケアマネージャーの試験は毎年10月の年1回です。
申し込みを忘れないよう注意しましょう。
ケアマネージャーの合格率は10〜20%とかなり低い合格率となっています。
問題集が発行されているので、合格する点数を取れるまで繰り返し問題を解くことが大事です。
また何年分かさかのぼって勉強し、自信をつけていくのも良いでしょう。
認定介護福祉士
認定介護福祉士とは国家資格ではなく民間資格でありますが、ベテラン介護職としてステップアップできる資格です。
介護福祉士の中でもより専門的なスキルや知識が必要で、現在の介護職の中では一番高く位置付けられたものです。
認定介護福祉士の資格をとると信用も上がるため、より上の役割を任されることもあります。
認定介護福祉士になるには、介護福祉士の資格を所有しており実務経験が5年以上必要です。
また、認定介護福祉士養成研修で600時間の講義を受ける必要があります。
民間資格であり試験はありませんが、取得条件をクリアするのにとても時間と経験を要します。
キャリアパス要件とは何か?
キャリアパス要件とは、介護職員処遇改善加算の条件のことです。
介護職員処遇改善加算とは、介護士の方の賃金をあげていこうという加算なので、賃金を上げるための条件ということになります。
この要件は3つあります。
この要件を満たすことで、加算が取れるようになり、介護士の給料を上げることができます。
3年ごとに介護報酬が改正されるため、処遇改善加算が上がることも考えられます。
・キャリアパス要件Ⅰ
職場での位や職場での責任、仕事内容に応じた任用要件と賃金体系の整備をすることです。
・キャリアパス要件Ⅱ
職員の資質を向上させるために計画をして、研修の実施または研修の機会を設けることです。
・キャリアパス要件Ⅲ
経験または資格等によって昇給する仕組みや、一定の基準に基付いて定期的に給料を上げる判定をする仕組みを設けることです。
参考:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000199136.pdf
施設別にキャリアプランに変化はあるのか?
施設ごとにキャリアプランの変化はあるのでしょうか。
同じ介護士でも働き方が違うため、必要な資格などのキャリアも変わってきます。
どのような違いがあるのか見ていきましょう。
訪問系サービス事業所の場合
まず、訪問系サービスであれば、介護職員初任者研修を取得すると良いでしょう。
訪問介護士としてできる業務が増えます。
そして、介護福祉士実務者研修を受け、介護福祉士を目指します。
3年以上の実務経験を経て、介護福祉士を取得します。
その後は、経験を積みながら管理職など役職についてキャリアを積みます。
そして、ケアマネージャーを取得して、現場で介護を提供する側から管理する側へとシフトしていきます。
また、認定介護福祉士を取得して、専門性を生かし指導や人材育成に携わる職種になれる方もいます。
入居系事業所の場合
入所系事業所の場合も最初は、介護福祉士実務者研修を受け、介護福祉士を目指します。
3年以上の実務経験を得て、介護福祉士を取得します。
その後は、訪問系サービス事業所と同様に、経験を積みながら主任業務などの管理職についてキャリアを積みます。
そして、ケアマネージャーを取得します。
入所系事業所の場合は、ケアマネージャーを専門として管理業務のみを行う場合と、介護職を続けながらケアマネージャーとして働く場合があります。
事業所によって働き方が違います。
ケアマネージャーの仕事に専念したい方は、転職をする場合もあります。
認定介護福祉士を取得して、専門性をアピールするのも信頼性が高くメリットとなります。
これらの資格を踏まえてキャリアプラン
さまざまなキャリアプランを見てきましたが、介護士のキャリアプランとして多いのは、介護福祉士を取得したのちにケアマネージャーを目指していくという流れです。
では、どうして多くの人がケアマネージャーになるキャリアプランを選ぶのでしょうか。
結局何が一番良いのか?
ケアマネージャーを選ぶ理由は、金銭的な面と身体的な面があります。
介護士として介護を提供する現場で働くより、ケアマネージャーとしてサービス提供を管理する立場の方が、給料アップが見込めるからです。
また、年齢を重ね体力的に肉体労働が難しくなった時、ネアマネージャーならデスクワークや利用者への聞き取りなどが主な業務になるため、身体的な負担が少なくなるためです。
起業や独立といった選択肢はあるのか?
では、介護士で企業や独立といった選択肢はあるのでしょうか。
実際に、起業をしている介護士の方もいます。
介護事業を起業するには、サービス提供責任者が必ず必要となります。
サービス提供責任者になるには、介護職員初任者研修の場合は実務経験が3年以上必要となります。
できるだけ、実務者研修以上の資格を保有している方が望ましいです。
しかし、事業を展開していくには介護士意外にもさまざまな職種が必要な人材となります。
看護師などの医療に従事する職種に加え、事業を運用していくための経営の知識を持つ職種も必要です。
事業を運用していくためには、介護士としての経験はもちろんですが、環境を整えるための医学や経営などの幅広い分野の知識を持っていることが必要になります。
年収の上がり方はどのようになっているのか
では、資格をとっていくとどのように給与面が変わっていくのでしょうか。
グラフにあるように無資格者では、約26万前後だったのが、介護職員初任者研修を取得すると28万円5千円前後、実務者研修を取得で28万8千円前後になります。
そして、介護福祉士になると大きく上昇し、31万円を超えています。
ケアマネージャーになると34万円前後となり、無資格の時と比べると10万円ほどの給料が上がっていることになります。
資格別の平均月収
無資格者 | 約261,600円 |
介護職員初任者研修 | 約285,610円 |
実務者研修 | 約288,060円 |
介護福祉士 | 約313,920円 |
ケアマネージャー | 約349,980円 |
参考:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/19/dl/30kekka.pdf
資格の勉強方法
介護士の資格は、多くは実践の現場で生かせることが前提となります。
介護職員初任者研修や実務者研修は、研修をしっかりと受け、課題などをしっかりとこなすことで問題ないでしょう。
介護福祉士の場合は、国家資格です。
過去問題を解いて、傾向をしっかり掴むことが大切です。
問題を繰り返し解いていくことで、試験でも結果を残せるでしょう。
ケアマネージャーについては、難易度が高いです。
過去問題をたくさん解くことや医療や制度についての基礎知識をしっかり持っておくことが大切です。
一人での勉強が難しい場合は、オンライン講習会を行なっているサイトなどもありますので、受講して傾向を掴むのもおすすめです。
まとめ
今回は介護士のキャリアパスについてご紹介いたしました。
以下のようにまとめると
・介護士のキャリアパスは、国からも重要と認められ、今後はさらに給料も上がっていくと思われる。
・介護士のキャリアパスモデルとしては、介護者初任者研修、介護福祉士実務者研修、介護福祉士、ケアマネージャー(介護支援専門員)、認定介護福祉士がある。
・介護士の多くは、介護福祉士の免許を取得した後、ケアマネージャーの資格取得を目出し、キャリアアップを目出している。
現在介護士の方も、これから介護業界で働こうと考えている方もどのような姿になりたいかをしっかりと定めて、そこから逆算して資格勉強や就業先で実務経験を積んでよりよいキャリアを歩んでください。