介護士のストレス改善方法とは?状況ごとに対処する方法を伝授

相談転職

2021年7月19日 掲載

仕事をしていく中で避けられないストレス。

介護士のお仕事は、きついというイメージがあります。

介護士のお仕事をしていく中で、人間関係や職場環境など様々な要因が考えられます。

具体的には何がストレスになっているのでしょうか。

今回、ストレスを解消するにはどのようなことに気をつければよいか解説していきます。

介護士にとってストレスとは?

介護士をしていて実際に感じるストレスとはどのようなものがあるでしょうか。

人間関係や仕事上のことなど色々なことが考えられます。

実際のアンケート結果を踏まえて見ていきましょう。

ストレスの種類は大きく6点ある

介護士の仕事をしていく中で直面するストレスの種類は大きく6つあります。

以下の6つがストレスの大きな原因といえます。


1. 職場の人間関係

2. 一人当たりの業務量の多さ

3. 身体的負担

4. 職場の方針

5. 利用者への不満

6. 給料の問題


実際に、介護士に転職した理由を質問したアンケートを実施した結果にもこのストレスの原因が現れています。

355人を対象とした退職理由を調査したアンケートのうち、「人間関係がうまくいかなかったため」との回答が180人と一番多くなっています。

続いて「残業時間などの労働環境のため」が160人、「給料や収入アップのため」が140人、「やりがい・達成感を感じないため」が120人となっています。

アンケートの上位4つがこのような結果となっています。

つまりアンケートから、働いている中の不満を解消するための転職理由だったことがわかります。

他の退職理由としては、「結婚や出産などの家庭事情のため」が95人、「スキルアップのため」が80人、「希望する職種に就くため」が45人、「勤務地が遠いため」が40人となっています。

参照:セルワーク介護士に登録している355人を対象にしたアンケート結果

人間関係

アンケートでも一番多い退職理由となっていたのは人間関係です。

介護士の仕事はチームで協力し、利用者のケアを行うことです。

もちろん、現場でのコミュニケーションが大事になってきます。

コミュニケーションが必要だと言うことは、多くの人と関わりが必要ということであり、その中で考え方や価値観の相違などによる摩擦が生まれることがあります。

苦手な相手であってもコミュニケーションが必要になります。

毎日苦手な相手と接することはとてもストレスになるでしょう。


また、介護の現場は年齢層も大きく異なります。

年齢層が違うことによる話の不一致や働きにくさを感じることがあります。

時にはいじめが起きてしまうこともあるのが恐ろしいところです。

実際の職場では特に忙しい現場で、仕事のスピード感が違うことによりイライラすることもあるでしょう。

人によっては言い方が辛くなってしまいがちなこともあります。

辛い言葉をかけられると気持ちが滅入ってしまう人もいます。

これらのことが原因とした人間関係の悪化は大きくストレスになっているケースが多いようです。

一人当たりの業務量の多さ

介護士の業務内容は多岐にわたります。

日常生活のほぼ全てに関わることが必要になるためです。

食事や着替え、排泄、入浴、口腔ケアなど直接的なケアに加え、食事や着替え・入浴の準備、それに関わる掃除などもあります。

職場によっては調理や洗濯が必要なところもあります。


また余暇活動の充実も求められるため、散歩やレクリエーション、季節行事なども介護士の仕事の一つです。

加えて、記録業務などもあるため業務量はかなり多くなります。

これらの業務を分担して行っているという現状です。

しかし、今介護の現場は人手不足です。

以下のグラフをご覧ください。

参考:厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000071241.pdf

厚生労働省による労働条件等悩み・不安・不満等によると、「人手が足りない」「仕事内容のわりに賃金が低い」という意見が多いことが掲載されています。

人手不足ということは、現場に必要な人数が足りていないことが考えられます。

先程の業務内容を適切な人数で分担できれば良いのですが、人手が足りない時は少ない人員で業務を行わなければなりません。


つまり、一人当たりの業務量が増えるということです。

これにより、多大な業務量を任されていると思う介護士が多くなっています。

また、その業務量をこなしているのに仕事内容のわりに賃金が低いと思っている介護士も多くなっています。

身体的負担

介護士のストレスの中に身体的負担があります。

介護の仕事は基本的に肉体労働が必要になります。

重度の介護が必要な方を支えるのには力が必要になります。

例えば、立ち上がるのが難しい方を車椅子からベッドに乗り移る時やトイレの便座に映る時などがあります。

立ち上がるときに抱え上げなければいけませんし、立ってから横のベッドや便座に映るときに向きを変えなければいけません。

人一人を抱えて動かすということは、腕にも腰にもとても負担がかかります。

腕が上がらなくなったり、腰を痛めて腰痛を抱えてしまったりという介護士も多いです。

中には、サポーターやコルセットを使いながら仕事をしている方もいます。


また介護士には夜勤がありますし、不規則な生活になりやすいです。

食事の時間や寝る時間が不規則なってしまうことで体調が悪くなってしまう方もいるでしょう。

歳を重ねるごとに夜勤がキツくなってきたということも多く聞かれます。

職場の方針

職場の方針に対して、従えない環境がキツいということもあります。

介護士は、利用者と一番近くで接することができる職種です。

もちろん利用者の声や求めていることもよくわかります。

そのため、利用者のためになるケア方法にしたいと考える介護士も多いです。

しかし、中には現場の状態がわからないまま経営や効率を重視してしまう管理職がいることもあります。

利用者のためを思ってケアをしていきたい介護士からすると理不尽な決定や指示をされてしまい憤ることもあります。


また経営や効率を重視してしまい、現場の職員の働きやすさを考えていないこともあります。

先ほどもあったように、介護現場は人手不足です。

人手が少ないのに過剰な業務量をこなすよう要求してきたり、残業をするよう指示してきたりする職場は従業員を大事にしていないように見えます。

そのような職場の方針には従えないと思うことは当然のように思います。

利用者や家族への不満

介護士のストレスの原因の一つに利用者や家族への不満もあります。

厚生労働省によると、介護士の約4割から7割が利用者からハラスメントを受けたことがあるという報告があり、

約1割から3割は家族からもハラスメントを受けたことがあるという結果になっています。

また訪問介護やデイサービス、有料老人ホームのような介護施設サービスなど場所にとわずハラスメントがあることがわかります。

参考:厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/content/12305000/000532737.pdf


利用者は、日常生活を送るためには介助が必要な方であり、身体的にも精神的にも障害を持っている方が多いです。

もちろん、利用者や家族もストレスがあります。

それにより、暴力や暴言が出てしまうことも多いです。

そして、それを一番ぶつけやすいのが身近にいる介護士となってしまいます。

日々、ケアに当たる介護士は、一生懸命に仕事に当たっているのに暴言や暴力を受けてしまうと多大なストレスになることも多いです。

また、業務を行う中で、クレームを言われることもあります。

クレーム対応

では、どんなクレームがあるのか3つの例をご紹介します。

こちらは夜勤中に起こった利用者からのクレームです。

どうしても施設は共同生活で同じ空間にいるため利用者間のトラブルも起こりやすいです。

どうしようもないことでも介護士にクレームが来る場合もあります。

落ち着いて過ごしてもらえるよう傾聴していくのは根気のいることです。

介護の現場で多いクレームの中で転倒や誤薬があります。

しっかり見ていた場合でも運動中の転倒など起こってしまうことでもあります。

そんな場合でも特に家族からしてみれば、介護士の責任だと思われてしまうこともあります。

状況をしっかり把握した上で、管理者など責任がある立場の人から家族や本人に説明してもらう必要があります。

こちらは、認知症の利用者からのクレームの一つです。

認知症の方は、物取られ妄想があり、ものがなくなったことを近い存在の人のせいにすることもあります。

この介護士の方は、一緒に探すように提案するなどうまく対応しています。

症状とともにその方自身を理解し対応することで成功した素晴らしい例です。

給料の問題

先ほどもあったように、介護の現場は人手不足です。

「仕事内容のわりに賃金が低い」と感じている介護士も多いです。

多くの業務量をこなしているのに給料が少ないとストレスを感じてしまいます。

最近は、介護士の多くがそのように感じていることを国も問題視しており、給料をあげる取組も行われています。

しかし、施設によっては目に見える形で反映されていないこともあり職場によっては介護士のストレスになることも多いです。

介護職に勤めている方は「燃え尽き症候群(バーンアウト)」になるケースがある

介護職に勤めている方は、「燃え尽き症候群(バーンアウト)」になるケースがあります。

燃え尽き症候群とは、前日まで意欲的にしていた人が、急にやる気が無くなったり倦怠感を感じてしまい仕事に行けなくなったりしてしまう症状のことです。

介護職に勤めている方は、人を相手にサービス提供する現場で、相手の気持ちを優先して考える方も多いです。 そのような方は、過剰な気配りやサポートをしたり、自分の気持ちを押し殺したりしてストレスになり燃え尽き症候群になることもあります。

参考:バーンアウト(燃え尽き症候群)

https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2007/01/pdf/054-064.pdf

あなた自身が当てはまっていないかチェックしよう!

以下の項目が多く当てはまる場合、燃え尽き症候群になる可能性が高いと言えます。

ぜひ確認してみてください!


1. こんな仕事、もうやめたいと思うことがある

2. こまごまと気配りすることが面倒に感じることがある

3. 同僚や顧客の顔を見るものいやになることがある

4. 自分の仕事がつまらなく思えて仕方のないことがある

5. 1日の仕事が終わると“やっと終わった”と感じることがある

6. 出勤前、職場に出るのがいやになって、家にいたいと思うことがある

7. 仕事の結果はどうでもよいと思うことがある

8. 今の仕事は私にとってあまり意味がないと思うことがある

9. 体も気持ちも疲れ果てたと思うことがある

10. われながら、仕事を上手くやり終えたと思うことがある


あなた自身は何個当てはまっていたでしょうか。

半分以上当てはまる方は今の仕事に対して、不満が溜まっている状態です。

8個以上当てはまる方はすごく危険な状態です。

転職するなどまずは行動してみることが重要です。

実際にストレスを解消するにはどうしたら良いのか

介護士は、ストレスを感じることが多いとわかりました。

では実際にストレスを解消するにはどうしたら良いか対処法を見ていきましょう。

1. 休みの日を充実させる

日々の仕事でストレスが溜まった時はプライベートを充実させることが重要です。

趣味の時間を作って楽しい時間を過ごすのも良いです。

楽しい時間を過ごすことで、仕事のストレスを忘れることができます。

生き生きした時間を過ごすことで脳を活性化させるメリットも期待できます。

実際に他の職業に就いている方も休みを充実させている方の方が仕事でのパフォーマンスが高い傾向があります。

しっかりと自分の時間を楽しめる方法を見出しましょう。

2. しっかり休む

休みの日を充実させるとともに大事なのが、しっかりと休むことです。

介護士の仕事は精神的にも疲れますが、肉体的に疲れることも多いです。

体が疲れているとストレスも溜まりやすくなります。

活動的に過ごすことも大事ですが、ゆっくり体を休める必要もあります。

好きな音楽を聴いたり、好きな本や無料コラムを読んだりのんびり安心した時間を過ごすことで疲れをとることができます。

ストレッチをしたりするのもおすすめです。

慢性的に疲れてしまう前に心身ともにリフレッシュしましょう。

3. 相談する

人間関係や利用者・家族との関わりなどでストレスを抱えることが多いです。

もちろん、個人情報保護や利用規約があるため仕事上のことを友人や家族などに相談することは難しいでしょう。

同僚や上司など信頼できる人を見つけて適宜、限界を感じる前に相談できるようにしておくことが大切です。

特に上司に相談しやすい環境を作っておくことで仕事がやりやすくなることも多いです。

キャリアを重ねた先輩にアドバイスをもらうのも良いでしょう。


また、話を聞いてもらうだけでもストレス軽減に効果的です。

アットホームな職場環境作りは大切です。

もし会社にアドバイザー的役割の方がいる場合は積極的に話を聞いてガイドしてもらうようにしましょう。

こういった職場は今すぐに辞めないと危険な特徴

ストレスの種類についても見てきましたが、原因の中で大きいのは職場の環境によるものも多いです。

こういった職場はいますぐに辞めないと危険な特徴をご紹介します。

同じ職場でキャリアアップを目指すより、転職した方が良いと考えられます。

労働基準法を遵守していない会社

労働基準法を遵守していない会社で働き続けるのはとても危険です。

労働基準法は、正しい労働条件で働くことができるよう労働者を守るための法律です。

会社は正しく労働基準法を理解し、経営していく責任があります。

例えば、無理な残業や休日出勤があります。

労働時間や休日については法律によってしっかりと定めがあります。

人手が足りない現場だからといって、規定時間以上の労働をさせたり残業を求めたりすることは違法になります。

休みが取りにくい、休日出勤を強要されるなどは注意しましょう。

夜勤を強要される

また、夜勤の回数についても気をつけておきましょう。

日勤に比べ、夜勤は体力が必要できついことも多く、人によっては家庭の事情でパート勤務だと言うこともあり難しいことも多いです。

夜型の人ならいいですが、希望する人も多くなく、夜勤帯の人手の確保が必要なこともあります。

介護士の夜勤については、法律によって決められていることではありませんが、だからといって強要されることではありません。

無理やり夜勤を入れられてしまうなど、介護士の承諾がないまま勤務を組まれてしまうことがある会社は危険だと言えます。

職場の方針

過度な仕事を経営者が改善する気がないというケースもあります。

介護士の仕事は多岐にわたりますが、一人の業務量が多くなってしまうこともあります。

例えば、重度の介護が必要な利用者に対して介護士一人で対応させて腰を痛めてしまうなんてこともあります。

会社のTopは、必要人員をしっかり見極めて配置・派遣する責任者としての管理責任もあるので、一人でできない業務を任されるのはおかしなことです。

しっかりとした会社は、研修などを実施し、教育体制がしっかりした適切な運営を行なっていることが多いです。


また、介護士の業務とは関係ない仕事を任されることもあります。

業務とは明らかに関係のない場所の掃除を任されたり、事務のスタッフがするようなデスクワークを業務外で任されたりということもあります。

もちろん、納得できる範囲のことであればいいのですが、日々の業務としてこれが組み込まれているのだとすれば注意した方が良いでしょう。

実際に在職しながら転職することは可能なのか

では、今すぐに辞めないと危険な職場に就職してしまった場合、在職しながら転職することは可能なのでしょうか。

現実的には、ある程度は可能です。

実際には、介護の職は人手不足のことが多く、たくさんの求人が出ていることが多いです。

未経験の方でも採用されやすかったり、契約社員での募集など幅広く求人があったり注目されています。

介護福祉士の資格を取得しているとさらに需要もあり採用されやすいです。


2021年現在は高齢化社会で、探せばたくさんの働ける場所が見つかるでしょう。

場所も東京都や大阪府などの都会から地方まで多くの需要があります。


しかし、労働環境が良くない職場に勤めていると、休みが少なかったり残業が多かったりと就職活動が思うように進まないことも考えられます。

就職する会社の福利厚生などがしっかりしているかどうか見極める必要があります。

人気の職場はすぐに求人が埋まってしまうことも少なくありません。


福利厚生や転職する際に気をつける点など関連した情報は、以下の記事にてポイントを押さえておくと役立ちますのでぜひご覧ください。

介護士に便利なサイトマップを利用し、必要な知識を得て準備しておきましょう。

まとめ

今回は介護士のストレスに関してまとめました。


・介護士によってのストレスは、職場の人間関係、一人当たりの業務量の多さ、身体的負担、職場の方針、利用者への不満、給料の問題の6つがある。

・介護職に勤めている方は、燃え尽き症候群(バーンアウト)になりやすいため、日常的にストレス解消を意識しておく方が良い

・不当な職場環境でストレスを感じる場合はすぐに辞めて、良い条件の職場に転職する方が良い


仕事においてストレスはつきものですが、あなたにとって今の職場がどうなのかは今一度確認してください。

もし耐えられないと感じる場合は、しっかりと相談したり転職をして体を壊さないようにしましょう。

今回の記事が役に立っていただけますと幸いです。

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